ゲームの「調べる・使う」を日常に。身の回りの「モノ」に遊び心を見つける方法
日常の中に潜む「宝物」を見つける視点
日々の生活は、家事や育児、仕事といったタスクに追われ、目の前のことをこなすだけで精一杯になることがあります。特に、家の中のモノや近所の風景は、当たり前になりすぎて、その存在意義や面白さを見過ごしてしまいがちです。単なる「片付けるべきもの」「買うべきもの」「いつも通るだけの道」として捉えてしまうこともあるでしょう。
しかし、少し視点を変えるだけで、日常の中に思わぬ発見や楽しみが隠されていることがあります。それは、まるでゲームの世界で、何気なく置かれているオブジェクトを「調べる」ことでヒントを得たり、持っているアイテムを特定の場所で「使う」ことで新しい道が開けたりする瞬間に似ています。
本記事では、ゲームにおける「調べる」「使う」というシンプルな操作からヒントを得て、私たちの身の回りの「モノ」や「場所」に潜む遊び心を見つけ出し、日々の生活を少しだけ豊かにする方法をご紹介します。
ゲームにおける「調べる」「使う」の役割
多くのゲームにおいて、プレイヤーは広大な世界を探索し、様々なオブジェクトやアイテムに出会います。
- 「調べる」(Inspect/Examine): 壁の落書き、本棚の本、怪しい壺など、環境に溶け込んでいるモノを調べると、世界観に関する情報、ストーリーのヒント、隠されたアイテム、あるいは単なるユーモラスなメッセージが見つかることがあります。これは、注意深く観察し、関心を持つことへの報酬として機能します。
- 「使う」(Use/Interact): 鍵で扉を開ける、スイッチを押す、特定のアイテムを別のアイテムと組み合わせる(クラフト)、キャラクターに話しかけるなど、モノや他者とのインタラクションを通じて、物語が進展したり、新しいエリアに行けたり、課題が解決されたりします。これは、持っている知識やアイテムを状況に応じて適切に活用することの重要性を示します。
これらの操作は、単にゲームを進めるためのものではなく、「もっと知りたい」「工夫してみたい」というプレイヤーの探求心や好奇心を刺激し、世界との関わりを深める「遊び心」の表れと言えます。
日常をゲームのように「調べる」遊び心
ゲームで環境オブジェクトを調べるように、日常生活でも身の回りのモノや場所を意識的に「調べてみる」ことで、新しい発見があります。
- 家の中の「調査」:
- 古いアルバムや写真: ただ見るのではなく、「この時の気持ちは?」「この場所はどこだった?」「このモノは今どうなった?」と、写っている情報以上のものを探るように眺めてみます。当時の出来事や、家族の意外な一面が見つかるかもしれません。
- 棚の奥にあるモノ: 「これ、いつからここにあるんだろう?」「なぜこれを買ったんだっけ?」「今の私にとって、何か新しい使い道はあるかな?」と「未確認アイテム」を調べるように手に取ってみます。忘れていた趣味の道具が見つかったり、意外な活用法を閃いたりすることがあります。
- 子供の作品や持ち物: 子供が作ったモノや外で拾ってきた石、葉っぱなどを、「これは何かな?」「どこで見つけたの?」「どうやって作ったの?」と興味を持って「調査」します。子供の創造性や関心を知るきっかけになりますし、子供自身も自分の発見を共有する喜びを感じられます。
- 近所の「調査」:
- いつもの道の脇: 普段は気に留めない植え込みの花の種類を調べてみたり、古い建物の装飾の細部を観察してみたりします。「こんなところに、こんなものがあったのか」という小さな発見が、マンネリ化した景色に新鮮な視点を与えます。
- 公園の遊具や設備: 子供と一緒に利用するだけでなく、「この遊具はどんな工夫がされているのだろう?」「このベンチには誰が座るのだろう?」など、利用者の視点から設計者の意図や周りの人々の暮らしに思いを馳せてみます。
これらの「調査」は、特別な時間や場所を必要としません。家事の合間に、通勤・通学中に、散歩中に、ほんの数分だけ意識を向けることから始められます。
日常をゲームのように「使う」遊び心
ゲームでアイテムを組み合わせたり、特定の場所で使ったりするように、日常生活でも持っているモノや状況を「どう使えるか」という視点で見てみます。
- モノの「活用」:
- 不要になったモノの再利用: もう着なくなった服を掃除用のウエスにする、空き箱を整理整頓の仕切りにするなど、本来の用途ではない方法で「アイテム」を「使用」できないか考えてみます。これは、ゲームのクラフトや合成のように、複数の「素材」から新しい「アイテム」を生み出す創造的なプロセスです。
- 調味料や食材の実験: いつも同じ味付けになりがちな料理に、冷蔵庫にある使っていない調味料を少量加えてみたり、異なる食材の組み合わせを試したりします。ゲームで「このアイテムとこのアイテムを組み合わせたらどうなるんだろう?」と試す感覚です。予期せぬ美味しい発見があるかもしれません。
- スキマ時間の「活用」:
- 待ち時間: 病院の待ち時間や子供のお昼寝中など、わずかな時間を「何をして過ごそうか」と意識的に考えます。ゲームで「このダンジョンに入る前に回復アイテムを使おうか」と戦略的にリソースを使うように、限られた時間をどう「使う」か計画します。短い読書、好きな音楽を聴く、瞑想するなど、自分を回復させる時間にあてられます。
- 移動時間: 通勤や買い物の移動時間を、ただの移動ではなく、新しい情報収集の「クエスト」の時間と捉え、ポッドキャストを聴いたり、景色の変化を観察したりします。
「使う」遊び心は、今あるものを最大限に活かす工夫する力に繋がります。モノを大切にする意識や、時間の有効活用にも役立つでしょう。
この遊び心がもたらす日常への効果
日常に「調べる」「使う」というゲームのような視点を取り入れることは、以下のようなポジティブな効果をもたらします。
- マンネリからの脱却: 見慣れた風景やモノに新しい価値を見出すことで、日常が新鮮に感じられます。
- 小さな達成感と喜び: 思わぬ発見や工夫が成功した時の喜びは、ゲームで隠しアイテムを見つけたり、難しい謎を解いたりした時の達成感に似ています。
- 創造性と問題解決能力の向上: モノの新しい使い方を考えたり、どうしたらもっと便利になるか工夫したりすることで、日常生活における様々な課題に対処する力が養われます。
- 子供との豊かな関わり: 子供の「なぜ?」「これ何?」に一緒に向き合い、「調査」や「活用」を楽しむことは、子供の好奇心を育み、親子のコミュニケーションを深めます。
- モノとの向き合い方の変化: 単なる消費の対象や管理すべきものとしてではなく、それぞれに物語や可能性を秘めた「宝物」としてモノを捉えられるようになります。
実践への小さなステップ
この「調べる・使う」遊び心を日常に取り入れるのに、特別な準備は必要ありません。
- まずは一つに注目: 今日は家の中の「あるモノ」一つ、または近所の「ある場所」一つに意識を向けてみようと決めます。
- 「?」を持ってみる: それに対して、「これは何だろう?」「どうしてこうなっているのだろう?」「何か別の使い道はないかな?」と疑問を持ってみます。
- 五感を働かせる: 見るだけでなく、触る、匂いを嗅ぐ、音を聞くなど、五感を使って「調査」してみます。
- 小さな工夫を試す: もし何か新しい使い道を思いついたら、無理のない範囲で試してみます。
- 子供と一緒に楽しむ: 子供が何かを見つけたり、質問したりした時に、「一緒に調べてみようか」「どうやって使うか考えてみようか」と声をかけてみます。
完璧を目指す必要はありません。日常の中に「ふと立ち止まる」「少し深く見てみる」時間を持つこと自体が、この遊び心の第一歩です。
まとめ
ゲームの世界でオブジェクトを「調べる」ことで新しい発見があり、アイテムを「使う」ことで状況が打開されるように、私たちの日常にも、意識を向けることで見えてくる面白さや、工夫することで広がる可能性が満ち溢れています。
家事や育児、仕事に追われる毎日だからこそ、ほんの少しゲームのような視点を取り入れて、身の回りのモノや場所との関わり方を変えてみませんか。日常の当たり前が、遊び心あふれる発見と工夫の宝庫に変わることを実感できるでしょう。