ゲームの「アチーブメント(実績)」から学ぶ、家事や育児の「できた!」を積み重ねる遊び心
日々の生活は、大小さまざまなタスクで溢れています。特に家事や育児に時間を取られる中で、一つのタスクを完了してもすぐに次のタスクが現れる、終わりのない作業のように感じてしまうこともあるかもしれません。一生懸命取り組んでいるにも関わらず、何かを「成し遂げた」という確かな手応えや達成感を得にくいと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ゲームの「アチーブメント(実績)」とは何か
多くのゲームには、「アチーブメント」や「実績」と呼ばれるシステムが搭載されています。これは、ゲームの進行や特定の行動(例えば、特定の敵を倒す、隠しアイテムを見つける、難しいチャレンジをクリアするなど)に対して与えられる、一種のトロフィーやバッジのようなものです。アチーブメントは、メインストーリーの進行とは別に設定されていることが多く、プレイヤーに新たな目標を与えたり、ゲームの隠された要素に気づかせたりする役割を持っています。
なぜプレイヤーは、ゲーム内でこれらのアチーブメント獲得を目指すのでしょうか。そこには、小さな目標をクリアすることによる達成感、自分の努力や成果が形として記録されることによる承認欲求、そして全ての目標をコンプリートしたいという収集欲などが関係しています。アチーブメントは、大きなゲームクリアという目標だけでなく、その過程にある小さな「できた!」を可視化し、プレイヤーのモチベーションを維持・向上させる効果があるのです。
日常生活に「アチーブメント思考」を取り入れる
このゲームのアチーブメントシステムから、日々の生活、特に家事や育児といった繰り返しの多いタスクに対する向き合い方について学ぶことができます。日常生活における「アチーブメント思考」とは、「当たり前にこなしていること」や「小さな一歩」にも意識的に目を向け、それを一つの「実績」として捉え、達成感を積み重ねていく考え方です。
家事を「実績解除」に変えるアイデア
家事は毎日、毎週、毎月行うものですが、その一つ一つを意識して「解除」していくことで、単なる作業から目標達成ゲームのように捉え直すことができます。
- タスクのリスト化と「チェック」: スマートフォンのToDoリストアプリや、紙のチェックリストを活用します。例えば、「夕食後の洗い物をすぐに完了した」「洗濯物を畳んで引き出しにしまった」「トイレ掃除を終えた」といった具体的なタスクをリストアップし、完了したらチェックを入れます。このチェックを入れる行為が、ゲームでの「実績解除」に相当します。
- 「難易度」を設定してみる: 毎日行う家事は「デイリーアチーブメント」、週に一度行う家事は「ウィークリーアチーブメント」、月に一度の大掃除などは「マンスリーアチーブメント」のように、ゲーム風に分類してみるのも面白いかもしれません。
- 小さなご褒美を設定する: 例えば、「デイリーアチーブメントを3つ解除したら、好きな音楽を聴きながらコーヒーブレイク」「ウィークリーアチーブメントを全て完了したら、夜にゆっくりドラマを見る時間を作る」など、自分への小さなご褒美を設定します。
育児の瞬間を「達成実績」として記録する
育児においては、子供の成長や自分自身の働きかけの中に、多くの「できた!」の瞬間があります。これらを意識的に捉えることで、育児の喜びや自身の頑張りを再確認できます。
- 子供の「はじめて」を記録する: 子供が新しい言葉を話した、一人で着替えができた、苦手な野菜を一口食べられたなど、子供の小さな成長や挑戦を育児日記や写真、動画で記録します。これらは子供にとっての、そして親にとっても「偉大な実績」です。
- 親自身の「今日の頑張り」を記録する: 「子供と一緒に〇分間ブロック遊びをした」「寝かしつけが〇分で成功した」「子供の悩みについてじっくり話を聞いた」など、親として取り組んだことや成功した経験を記録します。これは、日々の育児における自身の努力や成果を「実績」として認識することにつながります。
- 「一緒にアチーブメント」を設定する: 少し大きくなった子供とは、「今日中に二人でリビングを片付ける」「お手伝いを一つ完了する」など、親子で一緒に取り組む目標を設定し、達成したら喜びを分かち合うのも良いでしょう。
自分時間の活用や自己啓発を「スキルツリー」のように
自分自身の学びや成長も、「アチーブメント」や「スキルアップ」として捉えることができます。
- スキマ時間の活用を記録: 「通勤時間中に読書を〇分した」「家事の合間にストレッチを〇分行った」など、短い時間を有効活用できたことを記録します。
- 新しい習慣の定着を「連続ログインボーナス」のように: 毎日特定の行動(例: 朝一番に水を飲む、寝る前に日記を書く)を続けることができたら、それを「連続達成日数」としてカウントします。日数が積み重なることで、モチベーションの維持につながります。
- 学びの進捗を可視化: オンライン講座を1ユニット終えた、関連書籍を1章読んだなど、学びの進捗を記録し、次のステップへの意欲につなげます。これはまるでゲームの「スキルツリー」を解放していくような感覚です。
「アチーブメント思考」で日常をより豊かに
「アチーブメント思考」を取り入れることは、単にタスクをこなすのではなく、一つ一つの行動に意味や目標を見出し、達成感を味わうための方法です。これにより、日々の生活に対するモチベーションが向上し、自己肯定感を高めることにもつながります。
完璧に全てのアチーブメントを解除する必要はありません。大切なのは、当たり前の日常の中に隠された「できた!」という小さな成功体験に気づき、それを意識的に積み重ねていくことです。失敗や中断があったとしても、それは次の挑戦への糧として捉え直すことができます。
ゲームの世界でプレイヤーを夢中にさせる「アチーブメント」の力を、ぜひあなたの日常生活にも応用してみてください。日々の家事や育児、自分自身の時間の中で、たくさんの「実績解除」を楽しみ、あなたの毎日をより豊かに彩る遊び心を見つけていただければ幸いです。